顧客満足度調査とは|
指標・調査設計・設問内容と実施時の注意点をわかりやすく解説
顧客満足度調査とは、商品・サービスに対する顧客の評価を測定する調査のことです。単に満足度が高い・低いという結果を確認するだけでなく、次のアクションにつなげていくことが肝要です。
ここでは、顧客満足度調査の目的や活用例をはじめ、指標や調査設計、設問内容のポイント、実施時の注意点を解説します。
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顧客満足度調査実践ガイド
顧客の評価を数値として把握できる顧客満足度調査は、マーケティングの精度を高める上で有効な手法です。本資料では顧客満足度調査でわかることや活用例をはじめ、調査設計・分析および活用のポイントをまとめました。
顧客満足度調査とは
顧客満足度調査とは、商品・サービスを利用した顧客がどの程度満足しているか、どのような点に満足・不満を感じているかを測る調査のことです。主に、Webアンケートなどの定量調査が用いられます。
まずは実施目的と活用例を見ていきます。
顧客満足度調査の種類と目的
顧客満足度調査の役割は、顧客からの評価を把握することで商品・サービスの強化・改善につなげたり、プロモーション施策に活かしたりすることです。定期的に実施する定点調査と、課題を特定するために実施する単発調査の2つの種類に大別され、調査目的に応じて使い分けます。
定点調査:満足度の変化をモニタリング
半年に1回や1年に1回など定期的に調査を実施し、満足度がどのように変化しているのか、推移を確認します。定点調査を行うことで満足度が上昇・下降している時期を特定できるため、施策前後の効果測定や問題点の早期発見に役立てることができます。
単発調査:自社の課題を把握する
単発調査は、自社の課題を明らかにしたい場合に行います。たとえば、新商品のリリース後に顧客満足度を調べ、改善に役立てるといった使い方があります。満足度に影響している要素の特定や、競合と比較した場合の強み・弱みを明確にすることで、次のアクションプランに活かすことができます。
顧客満足度調査の活用例
顧客満足度調査は、以下のような場面で有効です。
●定期的に実施して顧客満足度の変化を捉える
同じ質問内容で定期的に調査を実施し、自社の取り組みや施策による顧客満足度の変化を可視化します。
●施策による顧客満足度を確認して次のアクションプランに役立てる
新商品や新機能のリリース後、キャンペーン実施後などに調査を行い、顧客の評価をもとに次のアクションプランを検討します。
●顧客満足度に影響を与えている要素を特定して強化・改善に役立てる
品質面・機能面・サービス面・価格面など、顧客満足度に影響を与えている要素を特定し、商品・サービスの強化・改善やマーケティング施策に活かします。
●顧客の特性別に評価を確認して施策に役立てる
性別・年代別、利用場面別など、顧客の属性や特性別に評価を確認し、次のアクションに活かします。
●競合と比較した場合の強み・弱みを確認して施策に役立てる
競合商品との満足度の差異から自社の強み・弱みになっている点を明らかにし、強化・改善やプロモーション施策に活かします。
●顧客満足度を対外的に公表してPRに役立てる
実際に商品・サービスを利用した人の満足度は、新規顧客を呼び込むための情報として活用することもできます。対外的に満足度調査の結果を公表し、積極的にPRしていくという活用方法もあります。
顧客満足度調査~設計のポイント
顧客満足度調査を実施する際は、目的に応じて調査内容を精査することが大切です。調査設計のポイントを見ていきましょう。
顧客満足度の指標
まずは顧客満足度を測定する際の指標を決める必要があります。顧客満足度の指標として多く用いられているのは、以下の2つです。自社の状況に照らし合わせて検討しましょう。
NPS®(ネット・プロモーター・スコア)
NPS®とは、商品・サービスに対する愛着や信頼感を表す顧客ロイヤルティを測定する調査手法のことです。NPS®スコアが高くなるほど成長率も高くなるという相関性が明らかになっており、顧客満足度の指標として多く採用されています。
「あなたは○○(商品・サービス)を周囲の人にどの程度勧めたいと思いますか」という質問をして、0〜10点の11段階から選択してもらいます。
NPS®スコアの算出方法は以下の通りです。
- 0~6点:批判者
- 7~8点:中立者
- 9~10点:推奨者
NPS®スコア=推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)
注:ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
評定法による満足度
評定法とは、満足の度合いを5段階や7段階などの尺度を用いて回答してもらう手法のことです。
「あなたは○○(商品・サービス)について、どれくらい満足していますか」という質問をして、当てはまる度合いを選んでもらいます。
5段階尺度の例)
- とても満足
- やや満足
- どちらともいえない
- やや不満
- とても不満
調査対象者
どのような人を調査対象とするのかを決めます。調査目的に沿って、次の観点から検討するとよいでしょう。
- 基本属性(性別・年代・居住地・家族構成など)
- 行動特性(購入時期・購入頻度・購入金額など)
サンプルサイズ
どれくらいのサンプル(データの個数)を集めたいのかを決めます。Webアンケートなどの定量調査を行う場合は、一般に400以上のサンプルサイズであればデータとしての信頼性を担保できるとされています。
調査方法
顧客満足度調査の方法は、大きくはWebアンケートなどの定量調査と、ユーザーインタビューなどの定性調査の2つがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。
定量調査
定量調査とは、人数や割合、平均値など数値で表せるデータを収集して分析する調査手法のことです。顧客満足度調査では、主にWebアンケートが用いられています。短期間で多くの回答を集められ、統計学的に全体の傾向を把握できるという特徴があります。
定性調査
定性調査とは、調査対象者が発する言葉や行動実態など数値化できない情報を収集する調査手法のことです。代表的なのはユーザーインタビュー調査で、モデレーターとユーザーの1対1で行うデプスインタビューと、複数名のユーザーを集めて行うグループインタビューの2つの形式があります。満足・不満の背景にある実態や心理など、定量調査では把握しきれない詳細な情報を得たい場合に有効な方法です。
Webアンケートで全体的な数値を把握し、ユーザーインタビューで要因を深掘りするというように、組み合わせて実施するのも良い方法です。
設問内容
調査目的や用途、指標を踏まえて設問内容を決めます。設問内容の例を以下に挙げるので、参考にしてください。
- 基本属性(性別・年代・居住地・家族構成など)
- 購入実態(購入時期・購入頻度・購入金額など)
- 総合満足度(評定法 ※商品・サービスに対する総合的な評価)
- 要素別満足度(評定法 ※品質・機能・サービス・コストなど要素別の評価)
- 顧客ロイヤルティ(NPS®)
- 評価の理由(自由記述または選択式)
- 継続意向度(評定法)
- 競合との比較(評定法 ※総合満足度・要素別満足度)
- 商品・サービスに対する意見・要望(自由記述)
顧客満足度調査を実施するときの注意点
顧客満足度調査を実施するときは、以下の点に注意します。
個人情報の取り扱いに注意
顧客満足度調査では、会員IDやメールアドレスなどと紐づけて分析・管理したいケースもあるでしょう。他の情報と合わせると個人を特定できる情報となる場合は、個人情報保護法を遵守する必要があります。アンケートには、以下の4点を記載します。
- 個人情報を取得する理由を明記する
- 個人情報の管理方法について明記する
- 個人情報の利用についての問い合わせ窓口を明記する
- 個人情報の開示の有無について明記する
個人情報がどのように扱われるのか不明瞭な状態では、安心してアンケートに回答してもらえません。どうしても個人情報が必要な場合は、適切に取り扱う旨を必ず記載しましょう。
顧客満足度調査を次のアクションにつなげる
顧客満足度調査は、商品開発やマーケティングなど様々な場面に役立てることができます。調査結果を次のアクションにつなげるには、調査設計の段階で「どのような意思決定に役立てるのか」を明確にしておくことがポイントです。ぜひ本記事を参考に、より良い調査を実施してください。
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顧客満足度調査実践ガイド
顧客の評価を数値として把握できる顧客満足度調査は、マーケティングの精度を高める上で有効な手法です。本資料では顧客満足度調査でわかることや活用例をはじめ、調査設計・分析および活用のポイントをまとめました。