【具体例あり】
定量調査の回答形式・活用方法・定性調査との併用方法を紹介
アンケート調査に代表される定量調査には、様々な回答形式や手法があります。今回は、定量調査の基本的な回答形式や調査手法別の活用方法について、具体例を交えて解説します。
定量調査を定性調査と併用する手法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
定量調査の概要と回答形式の例
最初に、定量調査の概要と主な回答形式について見ていきましょう。
定量調査とは
定量調査とは、アンケートなどで収集した回答を数値化して分析する調査方法です。設問ごとに選択肢を提示し、その中からあてはまるものを選んでもらう選択形式の調査で、一度に多くの対象者(一般的には数百人以上)に実施します。
定量調査の用途は幅広く、商品の需要調査や顧客満足度調査、ブランド認知度調査など様々なマーケティング調査に用いられています。
定量調査の結果は数量や割合で明確に示すことができるため、第三者にもわかりやすく説得力があります。また、客観的な数値データに基づいて検討・議論ができるため、次のアクションや意思決定の確度を高めることが可能です。
主な回答形式と具体例
定量調査で主に用いられるアンケートには、様々な回答形式があります。ここでは基本的な回答形式を3つ紹介します。
<単一回答(SA:シングルアンサー)>
選択肢の中から、あてはまるものを一つだけ選んでもらう回答形式です。
【例】
質問:あなたが直近1カ月で最もよく利用した交通手段は何ですか。あてはまるものを一つお選びください。
選択肢:電車/バス/自家用車/タクシー/自動二輪車/自転車/その他( )
<複数回答(MA:マルチアンサー)>
選択肢の中から、あてはまるものを複数選んでもらう回答形式です。
【例】
質問:あなたが通勤用バッグを購入する際に重視する点は何ですか。あてはまるものを3つまでお選びください。
選択肢:サイズ/素材/デザイン/収納力/持ちやすさ/重さ/価格/その他( )
<スケール>
満足度や好意度の程度などを段階的に評価してもらう回答形式です。
【例】
質問:あなたは商品Aについて、どの程度購入したいですか。あてはまるものを一つお選びください。
選択肢:購入したい/やや購入したい/どちらともいえない/あまり購入したくない/購入したくない
以下の記事も参考にしてください。
アンケート調査票の作成例|主な回答形式・設問作成の基本ポイントを解説
定量調査の主な手法と活用例
定量調査には複数の手法があり、それぞれ実施方法や適した用途が異なります。ここでは、代表的な4つの調査手法について特徴と活用例を紹介します。
ネットリサーチの特徴・活用例
ネットリサーチは、インターネット上で調査票を作成・実施する調査手法です。従来の紙ベースの調査手法よりスピーディかつ低コストで実施できるため、様々なマーケティング調査に活用されています。
<活用例>
- 生活者やユーザーの実態調査
- ブランドやサービスの認知度調査
- 顧客満足度調査
- コンセプトやデザインの受容性調査
近年は、セルフ型のネットリサーチサービスを利用する企業も増えています。『Fastask』は300万人のアクティブモニターを有し、アンケートの作成から配信・集計まで自社で完結することができます。調査票は専任のリサーチャーが添削するため、不慣れな方でも安心です。
会場調査(CLT)の特徴・活用例
調査会場に対象者を集めて行うアンケート調査です。一般的には、会場に試作品や陳列棚などを用意し、実際に現物を見たり試したりした感想・意見を収集します。
<活用例>
- 試作品の使用評価
- 食品や飲料の試食・試飲評価
- 店頭陳列棚に設置する販促物の評価
- 発売前のパッケージの調査
郵送調査の特徴・活用例
調査票を対象者に郵送し、回答を記入して返送してもらう調査手法です。マンパワーやコストを要しますが、ネットリサーチには適さない層を含めて幅広い層の意見を収集できます。
<活用例>
- デジタル端末に不慣れなシニア層などを対象とした調査
- 長期間にわたり評価や実態などを記録してもらう日記調査
ホームユーステスト(HUT)の特徴・活用例
対象者の自宅に調査対象の商品や試作品などを送付して一定期間使用してもらい、その感想や評価を収集する調査手法です。実生活に近い環境で継続的に使ってもらえるため、よりリアルな声を把握することが可能です。
<活用例>
- 継続使用が必要な試作品の使用評価
- 商品の性能とコンセプトの一致度を評価
- 既存品と改良品の性能比較評価
- 自社商品と競合他社の商品の比較評価
定量調査と定性調査の併用例
定量調査は、インタビュー調査などの定性調査と併用することで、より詳細で有用なデータが得られる場合があります。
先にどちらの調査を実施するかで得られるデータの性質は変わるため、目的に応じた組み合わせ方を選ぶ必要があります。
先に定量調査を実施する例
「定量調査→定性調査」の順に行うパターンでは、まず定量調査で生活者やターゲットの大まかな特性や行動傾向を把握し、それらを元に定性調査で詳細を深掘りします。
例えば、ネットリサーチで商品の満足度やリピート購入率が高い層を特定し、その人たちを対象にインタビュー調査を実施して「この商品ならではの魅力」や「使い続ける理由・その心理的な背景」などを詳しく聞き取ります。
定量調査で調査対象を絞った上で定性調査を行うことで、特定の層についての理解を深め、新たなコンセプトや施策アイデアの発見につなげることができます。
先に定性調査を実施する例
「定性調査→定量調査」の順に行うパターンでは、まず定性調査で仮説を構築し、定量調査でその正否を検証します。市場構造やターゲット特性を十分に把握できていない場合などに有効で、仮説構築のための情報を定性調査で収集します。
例えば、シャンプーのリニューアル後に売上が落ちた理由を明らかにしたい場合、他社商品にスイッチした人にインタビュー調査を実施し、「リニューアルした商品の不満点」や「シャンプーに求めること」などを詳しく聞きます。その結果を元に「リニューアル前より香りが長続きしないからではないか」といった仮説を立て、ネットリサーチなどの定量調査で検証します。
定性調査で対象者の心理的な傾向や行動特性などを把握しておくことで、対象者の実態に即した定量調査を実施できるようになります。
幅広い用途に活用できる定量調査
定量調査はマーケティング活動に不可欠な調査で、幅広い用途に活用できます。調査手法はネットリサーチや会場調査など多岐にわたるため、目的に応じて使い分けることが重要です。また、マーケティング課題によっては定性調査と併用することも有効です。ここで紹介した具体例などを参考に、自社の目的に合った定量調査を実施しましょう。