アンケート調査票の作成例|
主な回答形式・設問作成の基本ポイントを解説
アンケート調査を適切に実施するには、目的に合った設問と回答形式で調査票を作成する必要があります。アンケート調査に不慣れだと難しいと感じるかもしれません。
そこで今回は、アンケート調査の回答形式や設問作成の例、基本ポイントを解説します。
アンケート調査の主な回答形式と具体例
アンケート調査では様々な回答形式があり、目的に応じて使い分ける必要があります。ここでは、代表的な5つの回答形式と具体例を紹介します。
単一回答
一つの設問で複数の選択肢を提示し、その中からあてはまるものを一つ選んでもらう回答形式です。SA(シングルアンサー/エスエー)とも呼ばれます。
<例>
質問:あなたは、商品Aを何から見聞きして知りましたか
選択肢:テレビ/新聞/雑誌/検索エンジン/インターネット広告/SNS・ブログ/口コミ/その他
複数回答
提示した選択肢のうち、あてはまるものを複数選んでもらう回答形式です。回答数を制限しない場合と、「3つまで」など上限を設定する場合があります。MA(マルチアンサー/エムエー)とも呼ばれます。
<例>
質問:普段、あなたはどこで商品Aを購入していますか。あてはまるものを全てお選びください。
選択肢:スーパー/コンビニエンスストア/ドラッグストア/ホームセンター/インターネット通販/その他
マトリクス
一つの設問で複数項目の回答を得たい場合、表形式で一度にまとめて聞くことができる回答形式です。縦軸・横軸に聞きたい項目や尺度を用意し、単一回答または複数回答で該当するものを選んでもらいます。
<例>
質問:あなたが、果物から想定するイメージについて、あてはまるものを全てお選びください。
スケール
選択肢に評価段階(スケール)を提示し、あてはまるものを一つ選んでもらう回答形式です。満足度や好意度の程度など、心理的な傾向を把握したい場合に適した回答形式です。評価段階は3段階、5段階、7段階に分けるのが一般的です。
<例>
質問:あなたは、商品Aにどのくらい満足していますか。あてはまるものを一つお選びください。
選択肢:満足/やや満足/どちらともいえない/やや不満/不満
自由回答
設問に対して自由に記述してもらう回答形式です。回答の理由や背景、商品に対する感想や意見などを把握したい場合に用います。
<例>
質問:Q1で「はい」と回答した理由をお聞かせください。
回答
質問:当サービスについてのご意見やご要望を自由にお書きください。
回答
設問作成の基本ポイントと良い例・悪い例
次に、設問作成時に押さえておきたい5つのポイントを、具体例と共にご紹介します。
主語や期間を明確にする
設問文の主語や期間が曖昧だと、意図とは異なった解釈で回答される可能性があります。必ず明確に書きましょう。
悪い例:柔軟剤をどのくらいの頻度で購入していますか。
良い例:あなたは柔軟剤をどのくらいの頻度で購入していますか。
良い例:あなたの家庭では、柔軟剤をどのくらいの頻度で購入していますか。
悪い例:あなたは最近、缶ビールを購入しましたか
良い例:あなたは直近3カ月以内に缶ビールを購入しましたか
1つの設問で2つ以上の質問をしない
1つの設問で2つ以上の事柄を聞くと、回答の焦点が定まらず回答内容にバラつきが生じてしまいます。1つの設問で問う内容は1つに絞りましょう。
悪い例:あなたは商品Aの価格と使い勝手に、どの程度満足していますか。
良い例:あなたは商品Aの価格について、どの程度満足していますか。
良い例:あなたは商品Aの使い勝手について、どの程度満足していますか。
専門用語や略語を使用しない
専門的な用語や略語は一般の人には伝わりづらいことがあるため、平易な言葉に言い換えましょう。一般に浸透している略語でも、正式名称で記載することが基本です。
悪い例:あなたは、どの携帯キャリアのスマホを使用していますか。
良い例:あなたは、どの携帯電話会社のスマートフォンを使用していますか。
回答者を誘導しない
特定の方向に誘導するような設問文は、回答内容に影響を与えてしまいます。不要な文言を付け加えないようにしましょう。
悪い例:健康に良いと話題の〇〇について、あなたはどのようなイメージがありますか。
良い例:あなたは、〇〇についてどのようなイメージがありますか。
過度に丁寧な言い回しをしない
必要以上に敬語を使うと、設問文が長くなってしまいます。回答者に負担を与えないためにも、設問文は端的にまとめましょう。
悪い例:あなたのご職業を、下記よりお選びいただけますと幸いです。
良い例:あなたの職業を下記より選択してください。
アンケートの目的別の設問例
アンケート調査は、目的に応じて適切な設問を設定する必要があります。ここでは、4つの調査内容ごとの一般的な設問例を紹介します。
ユーザー調査の設問例
商品・サービスのユーザーに使用状況や満足度を聞くアンケートでは、主に次のような項目を聞きます。
<例>
- あなたは、商品Aを何から見聞きして知りましたか。
- あなたは、商品Aをどこで購入しましたか。
- あなたは、商品Aをどのくらいの頻度で使用していますか。
- あなたが商品Aを購入した理由について、あてはまるものを全て選んでください。
- あなたは、商品Aについてどの程度満足していますか。
- 前問の回答の理由をご記入ください。
コンセプト調査の設問例
新商品などのコンセプトの印象や評価を聞くアンケートの例です。一般的にコンセプト案は複数用意し、一つずつ評価してもらう絶対評価と、複数案を比べて評価してもらう相対評価を行います。
<例>
- コンセプト「P」の印象について、あなたのお気持ちに近いものを選んでください。
- コンセプト「P」の商品を使ってみたいと思いますか。
- コンセプト「Q」の印象について、あなたのお気持ちに近いものを選んでください。
- コンセプト「Q」の商品を使ってみたいと思いますか。
- コンセプト「P」と「Q」をご覧になって、どちらをより使ってみたいと思いましたか。
ブランドイメージ調査の設問例
ユーザーや非ユーザーが、商品・サービス(ブランド)にどのようなイメージを持っているかを聞くアンケートの例です。
<例>
- あなたは「ブランド名」をご存じですか。
- あなたは「ブランド名」を購入したことがありますか。
- あなたは「ブランド名」をどの程度の頻度で購入していますか。
- 「ブランド名」を今後購入したいと思いますか。
- 「ブランド名」にどのようなイメージをお持ちですか。
- 「ブランド名」にどの程度の好感を持てますか。
- 前問の回答の理由をご記入ください。
広告効果測定調査の設問例
テレビCMやインターネット広告などの広告施策の浸透度や、広告を見た印象、購入意欲の変化などを把握するためのアンケート例です。
<例>
- あなたは、このテレビCMを見たことがありますか。
- このテレビCMを見て、どのような印象を受けましたか。
- このテレビCMは好きですか。
- 前問の回答の理由をご記入ください。
- このテレビCMを見て、商品Aを購入したいと思いましたか。
適切でわかりやすい調査票を作成しよう
アンケートの設問や回答形式は、調査内容に応じて適切に設定する必要があります。また設問文についても、回答者に負担をかけたり、解釈で迷わせることがないように配慮することが大切です。ここで紹介したポイントや例を参考に、適切でわかりやすい調査票を作成しましょう。