ブランド認知度調査とは|
調査の指標とアンケート項目の例・実施時の注意点
ブランド認知度は、マーケティングにおいて重要となる指標の一つです。自社の現状を数値として客観的に把握するために実施するのがブランド認知度調査です。
ここでは、ブランド認知度調査とは何かを整理するとともに、重視される指標、アンケート項目の例、実施時の注意点を解説します。
目次 |
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ブランド認知度調査とは
ブランド認知度調査とは、市場において自社の商品・サービスがどれくらい認知されているのかを測定する調査のことです。どのような場面で活用されているのか、また、実施方法について見ていきます。
ブランド認知度調査の活用方法
ブランド認知度調査が用いられるのは、主に次の2つの場面です。
●マーケティング戦略の策定
ブランド認知度調査では、年代や居住地などの属性別に認知度を確認したり、競合と比較したりすることで、自社の現状のポジションを客観的に把握することができます。また、ブランドを認知した経路やチャネルなど、詳細なデータを得ることも可能です。注力すべき課題が明らかになり、より精度の高いマーケティング戦略を策定できるようになります。
●マーケティング施策の成果をモニタリング
ブランド認知度を定期的にモニタリングすることで、施策による成果を可視化できます。たとえば、キャンペーンを行った後にブランド認知度が向上していれば、一定の効果があったと見ることができます。マーケティングのPDCAをスピーディかつ効果的に回していく上でも役立ちます。
ブランド認知度調査の実施方法
ブランド認知度調査の実施方法には、ネットリサーチ、郵送調査、電話調査などがあります。現在は、スピーディに多くの回答を集められるネットリサーチが主流となっています。ただし、ネットを利用しない層も対象としたい場合は、他の調査方法と組み合わせるなどの工夫が必要です。
また、ブランド認知度調査は調査会社に委託する場合と自社で実施する場合の2パターンがあります。それぞれのメリットや費用感は次の通りです。
●調査会社に委託
調査設計や分析において専門的な知識を有しているため、自社にノウハウがない場合でも精度の高い調査が可能というメリットがあります。
費用は、10問×100サンプルで10万円程度からが基本料金の相場です。ただし、スクリーニング調査や分析・レポートなどは別途費用が発生するケースが多くなっています。
●自社で実施
ブランド認知度調査は幅広い層を対象にしてデータを集める必要があるため、自社で実施する場合はモニターを保有しているセルフ型ネットリサーチを活用する方法がおすすめです。調査票の作成や集計・分析は自社で行うため、費用を抑えられる点が大きなメリットです。また、自社にノウハウを蓄積しやすいという利点もあります。
セルフ型ネットリサーチは各社で料金体系が異なりますが、10問×100サンプルで1万円程度から提供されています。
セルフ型の場合、「調査票を自社で作成できるのか不安」という声が上がることが少なくありません。セルフ型ネットリサーチ『Fastask』では、専門家による調査票チェックのサービスを提供しているので、不安がある場合はぜひ確認してみてください。
ブランド認知度の指標
ブランド認知度の指標として用いられているのが純粋想起率と助成想起率です。詳しく見ていきましょう。
純粋想起率
純粋想起率とは、手がかりとなるヒントを一切与えない状態でブランドの銘柄を思い出す人の割合のことです。たとえば、「缶コーヒーといえば、どの銘柄を思い浮かべますか?」といった質問をして、銘柄を自由に回答してもらいます。
純粋想起率が高いということは、ブランドが深く浸透していて強く記憶されているということです。とくに高級品などは銘柄を指名買いすることが多くなるため、純粋想起率が高いほど売上につながりやすいと判断します。
助成想起率
助成想起率とは、銘柄やロゴ、パッケージデザインなどのヒントを与えたときに認知されている割合のことです。たとえば、「次の缶コーヒーのうち、知っている銘柄を全て選んでください」というように選択肢を示した上で選んでもらい、その割合を出します。
日用品や低価格帯の商品などは複数の商品を見比べて購入するケースが多くなるため、「知っている」という助成想起率が高い状態は購買につながりやすいといえます。競合との比較をする上でも重要となる指標です。
ブランド認知度調査のアンケート項目設計・設問例
ブランド認知度調査の設問設計のポイントと設問例を見ていきましょう。
設問設計のポイント
ブランド認知度調査の設問を設計する際は、「何を明らかにしたいのか」を明確にした上で、設問項目を精査することが重要です。以下を参考に、自社の課題に応じて決めていきましょう。
- ブランドを知っているか(純粋想起・助成想起)
- 自社のブランドに対してどのようなイメージを持っているか(イメージ)
- 競合ブランドに対してどのようなイメージを持っているか(イメージ)
- どのブランドの商品を購入したことがあるか(利用経験)
- どのチャネルで自社のブランドを認知したのか(チャネル・経路)
また、ブランド認知度調査では性別・年齢・居住地などの属性によって差があるのかを分析することも重要になるため、必要な属性情報も取得しておきます。
設問の例
以下に、基本となる設問の例を挙げるので参考にしてください。
- Q. あなたが知っている○○(ジャンル名)のブランドを全て教えてください。(純粋想起)
- Q. 次のうち、あなたが知っているブランドを全て選んでください。(助成想起)
- Q. あなたが知っているブランドの中で、○○についての特徴を説明できるブランドを全て選んでください。
- Q. ○○(ブランド名)について、次の言葉がどの程度当てはまりますか。
(イメージを表すキーワードを複数提示して、程度を選んでもらう) - Q. あなたは○○(ブランド名)に、どれくらい好感を持っていますか。
- Q. あなたが○○(ブランド名)を知ったきっかけを次の中から選んでください。
- Q. 次のうち、1年以内に購入したことがあるブランドを全て選んでください。
ブランド認知度調査を実施するときの注意点
ブランド認知度調査を実施するにあたって、とくに注意しておきたいのは次の2点です。
回答者の偏りをなくす
ブランド認知度調査は、市場において自社商品・サービスがどの程度浸透しているのかを計測することが目的のため、幅広い層を対象に実施することが基本です。対象者の範囲が狭すぎたり、自社の顧客層に偏っていたりすると、正しいデータを収集できなくなるため注意が必要です。
調査会社のモニターを活用するなどして、年代や性別、居住地、ライフスタイルなどが偏らないようにしましょう。
定期的に実施して変化を見る
ブランド認知度は自社のマーケティング施策や競合他社の展開によって変化するため、定期的に実施して、常に自社のポジションを確認しておくことが重要です。
また、広告やキャンペーンの効果を測定する場合は、施策の実施前後で調査を実施して数値の動きを確認する必要があります。あらかじめ調査計画を立てて、取り組むようにしましょう。
定期的にモニタリングして課題にいち早く対応する
ブランドの状態は、自社の取り組みだけでなく、競合の影響や市場ニーズの変化を受けながら変わっていきます。いち早く自社の課題をキャッチアップし、効果的なマーケティング活動を行えるよう、定期的にブランド認知度調査を実施してモニタリングすることが大切です。