アンケート調査票の作り方|
手順と失敗しないためのポイントをわかりやすく解説
アンケート調査は容易にデータを収集できる手法であり、マーケティングや商品開発など様々な場面で利用されています。しかし、調査票の作り方に失敗してしまうと、正しい情報を得られなくなってしまうため注意が必要です。
ここでは、アンケート調査票を作るときの手順と押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
アンケート調査票とは
アンケート調査票とは、対象者に回答してもらうための設問文と回答方法を記載しているものをいいます。アンケートで有用な情報を得るためには、調査票の作成をしっかり行うことが極めて重要になります。
調査票の精度が回答データに大きく影響
アンケート調査は、調査票の精度によって回答結果に大きな影響が出ます。たとえば、設問文がわかりにくくなっていると回答者によって解釈が異なってしまい、正しいデータを収集できなくなります。
また、回答の選択肢に抜け漏れ・重複があったり、無意識のうちに誘導的な設問文になっていたりするなど、回答データに影響を与えてしまう要因は多数あります。適切にデータを集めるには、アンケート調査票の作り方の基本とコツをしっかり押さえておくことが重要です。
アンケート調査票の作り方
ここでは、アンケート調査票の作り方を5つの手順に分けて見ていきます。
1.調査目的の明確化
調査票を作成するにあたって、まずは調査目的を明確にしておきます。以下のことを具体的にしましょう。
- 調査によって解決したい課題
- 調査によって明らかにしたいこと
- 調査結果の活用方法
これらを事前に決めておくことで、調査票に盛り込むべき内容を整理しやすくなります。また、「調査結果が出たもののデータをうまく活用できない」といった失敗を防ぐことができます。
2.調査設計
次のステップでは調査設計を行い、調査内容を具体的にします。決めるべきことは次の通りです。
●調査対象者
調査目的に応じて、性別・年齢・居住地などの属性、購入経験の有無などの行動特性、ライフスタイルや興味関心の対象などから、調査対象者の条件を決定します。
●サンプルサイズ
集めるサンプルサイズを決めます。一般に400以上のサンプルサイズがあれば信頼性の高いデータとされていますが、外部のサービスを利用する場合はサンプルサイズによってかかるコストが変わってくるため、事前に調整しておくとよいでしょう。
●調査方法
調査目的や調査対象者を踏まえて、適切な調査方法を決めます。現在は短期間で幅広い層から回答を集められるWebアンケートが主流ですが、普段ネットを利用しない人を対象者に含めたい場合は、紙を用いた調査も合わせて検討します。
●調査スケジュール
準備〜調査実施・回収〜集計・分析の流れに沿って、どのようなスケジュールで進めていくかを決めます。
3.設問項目の決定
調査目的に沿って、設問項目を決めます。設問を決める際は、あらかじめ仮説を立てておくと進めやすくなります。
例を見ていきましょう。
例)調査目的:売上が低迷している理由を明らかにする
<仮説と設問の考え方>
●仮説:競合との比較で負けているのでは?(価格面、機能面、アフターフォローなど)
- →商品を選ぶときに重視する項目を質問する
- →自社と競合の特徴を比較できる設問項目を設ける
●仮説:パッケージデザインが古臭い印象になっているのでは?
- →パッケージデザインの印象として当てはまるものを選んでもらう設問項目を設ける
- →パッケージデザインを複数提示し、好きと思うものを選んでもらう
このように、はじめに仮説を立てておくことで設問項目が具体的になり、求めるデータを得やすくなります。
4.回答形式の決定
設問項目ごとに適した回答形式を決めます。よく用いられる回答形式を以下に整理しました。
単一回答 | 選択肢の中から1つのみ選択してもらう |
複数回答 | 選択肢の中から当てはまるもの全て、または○つまでというように制限をつけて複数選択してもらう |
自由回答 | 文章で自由に回答してもらう |
段階評定 | どの程度当てはまるのかを選択してもらう (とてもそう思う・そう思う・ややそう思う・あまり思わない・そう思わない など) |
順位法 | 選択肢に順位をつけてもらう |
SD法 | イメージを表す対立する言葉を用いて、5段階などの尺度で当てはまるものを選んでもらう (新しい・古い、明るい・暗い など) |
回答形式を決めるときは、回答者にできるだけ負担をかけず、答えやすい形式を検討することが大切です。
たとえば、自由回答が多すぎると回答者は面倒に感じ、途中離脱してしまう可能性があります。また、選択肢が多すぎて選びにくい、単一回答で一つに絞り込むのが難しいといったケースもあります。回答形式を決めるときは、他の人にも確認してもらうなどして精査することをおすすめします。
5.本番前のテストを実施
調査票が完成したら、本番で利用する前に社内の人などの協力を仰ぎテスト調査を実施しましょう。作成者は不備に気づきにくいものなので、事前のテストで設問項目や回答形式に問題点がないかどうかを確認しておくと安心です。
調査票を作るときのコツ
調査票を作るときに押さえておきたいコツを4つ紹介します。
回答者に負荷をかけない設問数を意識する
せっかくアンケート調査を実施するなら、何かに使えるようにあれもこれも質問しておこうという気持ちになりがちです。しかし、設問数が多すぎると回答者に負荷がかかり、途中離脱の原因になるほか、適当に答えておこうという心理が働きやすくなり、データの精度が落ちてしまうことがあるため注意が必要です。
一般的に、アンケート調査の設問数は20問程度を超えると負担に感じるとされています。回答者のモチベーションを考慮しながら、必要な設問項目を精査するようにしましょう。また、アンケートの冒頭に所要時間の目安を入れて、面倒と感じさせないように工夫することも大切です。
簡潔でわかりやすい設問文を作る
設問文は、誰が読んでもわかりやすいよう簡潔かつ平易な言葉でまとめることが重要です。以下の点を意識しながら作成しましょう。
- 専門用語・業界用語は極力使わない(使用する必要がある場合は注釈を入れるのが望ましい)
- 人によって解釈が異なる表現を用いない(NG例:最近 → OK例:過去1年間)
- 主語(あなたは~、あなたの家族は~ など )を省略しない
- 1つの設問で複数のことを聞かない(NG例:あなたはAやBが好きですか。)
バイアスがかからない聞き方をする
設問文の表現によって、回答にバイアスがかかってしまうことに注意が必要です。
例を見てみましょう。
NG例)
「運動不足により病気を引き起こすといわれていますが、あなたは今後継続的に運動をしてみたいと思いますか。」
上記の例文では、「運動不足になると病気を引き起こす」ことが暗示されているため、回答結果に影響を与えてしまう可能性があります。設問文を作成するときは、回答を誘導していないか、同意を誘うような表現になっていないかを入念に確認しましょう。
質問する順番に留意する
アンケート調査では、回答者が答えやすい順番で質問することが基本です。以下の点を意識しましょう。
- 時間の流れに沿って質問する(過去→現在→未来)
- 答えやすいものから聞く(例:YES/NOで答えられる質問、事実を問う質問など)
- 関連する項目はできる限り続けて聞く
調査票作成の基本を押さえてより良いアンケート調査を
アンケート調査は、多くの企業が取り入れている調査手法です。しかし、調査票の作り方次第でデータの精度が変わるため、基本をしっかり押さえておくことが重要です。ぜひ本記事を参考にして、次のアクションにつながる、より良いアンケート調査を実施してください。