アンケート調査の分析方法|
基本的な集計方法と代表的な分析方法5つ
アンケート調査の結果を次の施策に活かすためには、適切な方法で集計・分析することが重要です。
本記事では、アンケートの回答データを集計・分析する代表的な方法を紹介します。目的に合った分析方法を見つけるための参考にしてください。
アンケート調査の集計・分析にお困りの方へ
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アンケート分析の基本となる集計方法
アンケート結果の分析にあたって、最初に行うのがデータの集計です。集計方法は「単純集計」と「クロス集計」の2種類に大別されます。
まずは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
単純集計
単純集計(Grand Total:GT)は最も基本的な集計方法です。設問ごとに各選択肢を選んだ人の割合などを算出し、全体の回答傾向を把握します。
以下は、商品Aのユーザー400人に満足度を聞いた結果を単純集計した例です。
人数(n) | 割合(%) | |
満足 | 240 | 60 |
どちらとも言えない | 120 | 30 |
不満 | 40 | 10 |
合計 | 400 | 100 |
この結果から、全体の6割が商品に満足していることがわかります。
クロス集計
クロス集計は、単純集計のデータを、性別・年齢などの属性や他の設問と掛け合わせて集計する方法です。
例えば、前項の集計結果について男女別の割合を知りたい場合、以下のようにクロス集計をします。
カッコ内は% | 満足 | どちらとも言えない | 不満 |
合計 n=400 |
240 (60.0) |
120 (30.0) |
40 (10.0) |
男性 n=200 |
160 (80.0) |
30 (15.0) |
10 (5.0) |
女性 n=200 |
80 (40.0) |
90 (45.0) |
30 (15.0) |
その結果、商品Aについて男性の満足度は8割と非常に高いものの、女性は4割に留まっていることがわかりました。
クロス集計を行うと、単純集計だけでは見えてこない一歩踏み込んだデータを得ることができ、施策の検討などに役立てることができます。
アンケート調査の代表的な分析方法5つ
アンケート結果の分析方法には様々な種類があり、調査目的によって適した方法は異なります。ここでは、代表的な分析方法を5つご紹介します。
時系列分析
時系列分析は、時間や日数の経過によるデータの推移を分析する方法です。一定期間にわたって特定のデータを蓄積し、日別・週別・月別・年別など時系列の推移を追うことで、データに変化があった時期やその要因を探ります。また、過去の傾向から将来のデータを予測したい場合にも便利です。
<用途の例>
- ブランド認知度や顧客満足度の推移を測定
- 過去の売上・販売数の推移から将来の需要を予測
- 季節要因や天候要因などを特定して仕入れ数や施策を調整
クラスター分析
アンケートの回答結果を元に回答者をいくつかのグループ(クラスター)に分類し、各クラスターの特徴などを分析する手法です。例えば、「商品購入時に重視したポイント」で分析する場合、回答が類似した人をグルーピングして「デザイン重視層」「機能重視層」といったクラスターに分類することができます。
クラスター分析は、人だけではなく商品や企業、地域などにも適用できるため、様々な領域のマーケティング分析に用いられています。
<用途の例>
- ターゲット層と非ターゲット層の特徴を分析
- ブランドのポジショニング分析
- ブランドイメージのカテゴリー分類
- 顧客のペルソナ分析
- 商圏のセグメンテーション
アソシエーション分析
アソシエーション分析は、データ間の関連性を分析して「ある事象が発生した場合、結果はこうなるだろう」といった法則を導き出す分析手法です。例えば、「商品Aを購入した人は、商品Bも購入することが多い」など、同時に購入されている商品の傾向を分析し、商品の陳列や品揃えなどの検討に役立てます。
<用途の例>
- 商品陳列・配置の検討
- ECサイトのレコメンデーション(おすすめ商品)の検討
- アップセル・クロスセルの提案
主成分分析
主成分分析とは、数多くのデータ(説明変数)を、1~3つ程度の少ない合成変数(主成分)に置き換えて要約する分析手法です。
例えば、ある食品のアンケートで「うまみ」「香り」「食感」「のどごし」など多くの評価項目があった場合、それらを元に「総合力」を算出することが可能です。
データ量が膨大な場合でも、主成分分析を行うことで、データ全体の傾向や構造をシンプルに把握できるようになります。
<用途の例>
- 顧客満足度の分析
- ブランドイメージの分析
- 商品のポジショニングマップを作成
- 生活者の行動分析
決定木分析
決定木分析とは、ある結果の原因となっている説明変数を明らかにし、樹木状のフローチャートに整理していく分析手法です。ディシジョン・ツリー分析とも呼ばれています。
例えば、商品Aの購入者の特性が知りたい場合、購入者を性別や年齢、ライフスタイルなどで分類・ブレイクダウンしていくことで「どのような属性・ライフスタイルの人が最も購入しているか」を特定できます。
非購入者についても同様に分析してフローチャートに整理すれば、商品Aの購入・非購入の意思決定に与える要因を構造的かつ視覚的に把握しやすくなります。
<用途の例>
- 商品・サービスのターゲット層を把握
- 商品・サービスに対する満足度やロイヤルティが高い層の属性を分析
- 商品・サービスの満足度やロイヤルティを高める要素を特定
自由記述による回答の分析方法
自由記述による回答形式は、次の2パターンがあります。
- 数値で回答(金額など)
- テキスト(文章)で回答
それぞれの分析方法を紹介します。
数値による回答の分析
数値による回答は、以下の4項目を確認することで分析の精度を高めることができます。
<平均値>
回答の数値データを全て足し上げ、それをデータの個数で割った値
<中央値>
回答の数値データを小さい(大きい)順に並べた時に、真ん中に位置する値
<標準偏差>
標準偏差は平均値に対するデータのばらつき度合いを表す指標のことで、以下のように算出します。
- 平均値を求める
- 各データの値と平均値の差(偏差)を求める
- 偏差を2乗した値を足し上げ、データ個数で割る
- 3の値の平方根を求める
一般的にはExcelの関数や分析ツールで算出することが多いです。データのばらつきが大きいほど、標準偏差の値が大きくなります。
<最小値・最大値>
回答の数値データのうち、最も小さい値が最小値、最も大きい値が最大値です。
回答の一部に極端に大きい(小さい)値があると、平均値が実態より大きい(小さい)値になることがあります。分析の精度を高めるには、平均値だけではなく中央値も確認することが重要です。
テキストによる回答の分析
テキストによる自由記述回答については、アフターコーディングやテキストマイニングなどの分析手法が便利です。
<アフターコーディング>
「肯定的な回答」「否定的な回答」など、類似した回答をグルーピングすることで、定量的に集計しやすくする分析方法。
<テキストマイニング>
回答を単語や文節で区切った上で、単語の出現頻度や単語同士の相関関係などを分析する手法。専用ツールを使用すれば、出現傾向などを視覚的にわかりやすく把握することができる。
これらの分析手法は、定性データを定量データに変換できる点に優れています。ただし、それによって見落とす情報があるかもしれない点には注意が必要です。
アンケート結果を分析して次の施策に役立てよう
アンケートの回答データを回収したら、詳細な分析に入る前に単純集計やクロス集計で大まかな傾向を掴みましょう。その上で目的に合った分析を行うことで、次の施策の検討に役立つデータや結論を導き出すことができます。ここで紹介した方法を参考に、アンケートの回答データを分析してみましょう。
アンケート調査の集計・分析にお困りの方へ
- アンケート結果の見方がよくわからない
- どのように集計すれば調査結果の分析がうまくいくのだろう
- アンケートを実施してもいつもやりっぱなしになってしまう
上記のような悩みをお持ちの方へ向けて、アンケートを正しく実施・分析する秘訣を解説した「マーケティングリサーチ実践ガイド」を無料で配布しています。
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