定量調査とは|
定性調査との違いやメリット・デメリットを解説
マーケティング活動に欠かせない調査手法の一つが定量調査です。多くの対象者に同じアンケートを実施し、結果を数値化することで説得力のあるデータが得られます。
本記事では、定量調査の特徴や主な手法、メリット・デメリットについて解説します。
定量調査の特徴
マーケティング調査の基本手法である定量調査。まずは、定量調査がどのような調査なのかを見ていきましょう。
定量調査とは
定量調査とは、数量や割合などの数的データで集計・分析することを目的とした調査手法です。
「はい/いいえ」などの選択形式の設問で構成するアンケート調査が代表的で、提示した選択肢の中からあてはまるものを選んで回答してもらいます。回答は設問ごとに集計し、「どの選択肢を何人が選び、それは全体から見るとどれくらいの割合か」といったデータを数値化しながら分析します。
定量調査は数百人以上の対象者に実施するのが一般的で、統計的な分析により全体の構造や傾向をつかむことができます。
マーケティング活動における定量調査の活用例には、以下のものが挙げられます。
- 商品開発の需要調査
- 顧客満足度調査
- ブランドイメージ調査
- 広告やキャンペーンの効果測定調査
定性調査との違い
定性調査もマーケティングに欠かせない調査手法ですが、定量調査とは扱うデータの性質が異なります。定量調査が数的データを扱うのに対し、定性調査では「行動」や「感情」などの数値化できない「質的なデータ」を扱います。
主な調査手法としては、デプスインタビューやグループインタビュー、行動観察調査(エスノグラフィ)などがあります。定性調査は一人ひとりの生の声を丁寧に収集することに重きを置いた手法であるため、数人~10数人程度の対象者にじっくりと時間をかけて話を聞きます。
また、定量調査では生活者の実態や商品の評価などを定量的に把握したり、仮説を数値で検証したい場合などに適しています。一方、定性調査は対象者の行動の背景や心の動きを探ったり、仮説を構築したい場合などに行うケースが多いです。
定量調査の主な種類
次に、定量調査の代表的な手法を4つ紹介します。
ネットリサーチ(Webアンケート)
インターネット上で行うアンケート調査のことで、ネットリサーチのほか、「Webアンケート」や「インターネット調査」と呼ばれることもあります。ネットリサーチではインターネット上でアンケートの配信・回答・データ回収などを行えるため、定量調査をスピーディかつ効率的に実施できます。その利便性の高さから、現在では定量調査の主流となっています。
近年は、セルフ型のネットリサーチサービスを利用する企業も増えています。『Fastask』は300万人のアクティブモニターを有し、アンケートの作成から配信・集計まで自社で完結することができます。調査票は専任のリサーチャーが添削するため、不慣れな方でも安心です。
会場調査(CLT)
対象者を調査会場に集めてアンケートに回答してもらう調査手法のことで、CLTはCentral Location Testの略語です。
会場調査は試作品や広告・販促物などの評価を目的に実施されるケースが多く、会場で実際に現物を見たり試してもらった後に、その印象や評価などをアンケートで聴取します。アンケートで気になるコメントや曖昧な回答があった場合は、その場でヒアリングを行い、回答内容の深掘りや確認を行うこともあります。
郵送調査
アンケートの調査票を対象者の自宅などに郵送し、回答を記入して返送してもらう手法です。インターネットでの実施が難しい高齢者などを対象とした定量調査に適しています。幅広い属性に実施しやすい手法ですが、ネットリサーチと比べて手間やコストがかかるため、企業がマーケティング調査のために実施するケースは少なくなってきました。
ホームユーステスト(HUT)
ホームユーステスト(HUT:Home Use Test)は、調査対象の製品などを対象者の自宅に送付し、実際に一定期間試してもらった上でアンケートに回答してもらう手法です。スキンケア用品や栄養機能食品、日用品など、ある程度の期間、継続的に使用しないと評価がしづらい商品の調査に適しています。普段と同じ生活環境で使用するため、実態や本音に近い意見を収集できます。
定量調査のメリットとデメリット・注意点
定量調査にはどのような利点があり、どんな点に留意すればよいのでしょうか。ここでは、定量調査のメリットとデメリット・注意点を見ていきます。
メリット
主なメリットは以下の4つです。
<回答協力が得やすい>
定量調査は提示された選択肢から選ぶだけの設問が多いため、比較的短時間で回答できます。設問数が10~15問以内で数分で回答完了できるアンケートであれば、回答者の負担が少なく、多くの対象者に参加してもらいやすいでしょう。
<説得力のあるデータが得られる>
定量調査の結果は数量や割合などで数値化できるため、客観的で説得力のあるデータが得られます。裏付けとなる数値データがあれば、仮説の検証や需要予測などの精度を高めることが可能です。
<結果をグラフなどで可視化しやすい>
調査結果を表やグラフでわかりやすく可視化できる点も定量調査のメリットです。全体の構造や傾向が一目でわかるようになるため、関係者との結果共有や調査結果を受けた議論がスムーズにできるようになります。
<コストを抑えて実施できる>
大規模な定量調査では手間やコストが増大しやすいですが、ネットリサーチであれば効率的・スピーディかつコストを抑えて実施することが可能です。調査費用を安く抑えることができれば、様々な定量調査を導入しやすくなります。
デメリット・注意点
留意点としては以下の2点が挙げられます。
<データ分析の知識やスキルが必要>
定量調査の結果を次の施策や意思決定につなげるには、数値化されたデータを適切に読み解かなくてはなりません。状況に応じて集計の切り口や分析方法を変える必要があるため、データ分析の知識やスキルが不足していると、調査結果の有効活用が難しい場合があります。
<調査票に含まれないことは聞けない>
定量調査では、事前に用意した調査票に含まれない項目についての回答を得たり、回答を深掘りすることができません。また、選択形式の設問が主体となるため、人によって回答が異なることが想定される内容の質問もしづらいです。
定量調査でのデータ収集が難しい内容の場合は、定性調査を実施することをおすすめします。
定量調査でマーケティングの精度を高めよう
商品開発やマーケティング施策の精度を高めるには、客観的なデータに基づいた検討や意思決定が不可欠です。定量調査では一度に多くの対象者から回答を収集することができ、統計的な集計・分析により客観的かつ説得力のあるデータを取得できます。
ここで紹介した調査手法やメリット・デメリットを参考に、自社の目的に合った定量調査を取り入れましょう。