ネットリサーチとは|
基本の4ステップと失敗しないための注意点
インターネットを活用したネットリサーチは、消費者の実態や課題・ニーズを把握するための代表的な調査手法の一つです。従来の紙を用いた調査方法に比べ、短期間で大規模の調査も可能という利点があります。
本記事では、ネットリサーチを実施する際の基本の4ステップと注意しておきたい点を解説します。
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マーケティングリサーチ実践ガイド
~調査企画と集計・分析のすすめ~
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ネットリサーチとは
まずはネットリサーチとは何か、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
ネットリサーチ(Web調査)とは
ネットリサーチとは、インターネットを介して行う様々な調査のことです。Web調査やインターネット調査、オンラインサーベイのように表現することもあります。市場の動向やニーズを捉える定量調査の一つとして、商品企画やマーケティングなど多くの場面で活用されています。
従来、市場調査というと紙を用いたアンケートが一般的でした。現在は幅広い層が日常的にインターネットを利用していることから、ネットリサーチが主流となりつつあります。
ネットリサーチの基本的なフローは、アンケート画面を作成→調査対象者にアンケートURLを送付→Web上で回答→集計・分析となります。調査対象者の選び方は、自社が保有する顧客リストをもとに選出する方法と、リサーチ会社に登録しているモニターの中からスクリーニング(要件を設定して絞り込む)する方法の大きく2つがあります。
ネットリサーチのメリット
従来の紙による調査票の配布・回収と比較して、ネットリサーチは以下の点がメリットとなります。
- 短期間かつ低コストで調査を実施することが可能
- 全国を対象とした大規模な調査も簡便に行うことができる
- 画像や動画を用いた調査も実施しやすい
- 回答内容に応じて次に表示する質問項目を分岐させる設定ができるため、回答者の負荷軽減につながる(一部のアンケートシステム)
- 自動集計ができる機能を備えているため、短期間で資料を作成できる(一部のアンケートシステム)
セルフ型ネットリサーチとは?
従来、自社の顧客以外に調査を行いたい場合は、モニターを保有するリサーチ会社に委託する方法が主流でした。昨今は、調査企画〜調査票の作成〜集計・分析を自社で行うセルフ型ネットリサーチが提供されています。
セルフ型は調査にかかるコストを抑えることができ、また、打ち合わせ等にかかる時間も削減できるため、より低コスト・短期間での調査が可能になっています。また、これまでコスト的に躊躇していた小規模の調査も柔軟に実施しやすいというメリットがあります。一方で、自社に調査ノウハウがない場合、調査票の作成でつまずくことがある点がデメリットです。
セルフ型ネットリサーチ「Fastask」は、セルフ型の問題点として挙げられる質問票作成をサポートしているサービスです。専任リサーチャーが質問票をチェックするため、ノウハウがない場合でも安心してセルフリサーチを実施することができます。
ネットリサーチの方法~基本の4ステップ
ネットリサーチの基本的な流れを4つのステップに分けて見ていきます。
ステップ1:調査企画・設計
はじめに調査内容の企画・設計をします。以下の項目を明確に決めましょう。
調査の目的 | 何を明らかにするための調査か |
調査結果の活用 | 調査結果を何に活用するのか |
調査地域 | どの地域の情報を集めるのか |
調査対象者 | 年齢・性別や条件をどのようにするか |
サンプルサイズ | どれくらいのサンプルを集めるのか |
調査実施期間 | アンケート送付→回収の期間をいつからいつまでにするか |
調査企画・設計をする際は、仮説を立てることが失敗を避けるポイントです。以下の例を見てみましょう。
例)
調査の目的:商品の売上が伸びない理由がわからないため、調査で明らかにする
仮説:競合との比較で負けているのでは? ターゲット層への認知が低いのでは?
調査の方向:ターゲット層に向けて全国的に調査を実施
上記のように仮説を立てることで、調査対象者の範囲や質問項目を整理しやすくなります。
サンプルサイズは一般に400〜1000サンプルあれば信頼性の高いデータとされています。サンプルサイズが多いほどデータとしての信頼度も高まりますが、そのぶんコストも高くなるので、調査目的や予算と照らし合わせながら検討しましょう。
ステップ2:調査票の作成
調査目的に沿って調査票を作成します。回答者によって受け取り方が異なるような文章になっていると、正しいデータを得られないため注意が必要です。質問項目を作成するときは、以下の点に留意します。
- 誰にでもわかりやすい表現か(専門用語は使わない)
- 回りくどい表現をしていないか
- 回答を誘導するような聞き方をしていないか
- 誤解が生じるような聞き方をしていないか
また、質問項目の順番を決める際は、回答者が答えやすいかどうかを考えて構成することも重要です。たとえば、時系列の質問が並ぶときは「過去→現在→未来」の順にすると、回答者が思考しやすくなります。
ステップ3:調査実施
調査票を作成したら、調査を実施します。自動集計の機能を備えたアンケートシステムであれば、回収期間中に速報値を見ることも可能です。
ステップ4:集計・分析
調査が終了したら、集計・分析を行います。集計方法の基本として、単純集計とクロス集計があります。
単純集計
単純集計とは、質問項目ごとの実数(回答者数)や割合(%)を出す方法です。GT表(grand total)とも呼ばれ、集計方法の基本となります。
クロス集計
クロス集計とは、2つ以上の質問項目を掛け合わせて集計する方法です。
たとえば、質問項目ごとに男女別や年代別の割合を出す属性によるクロス集計や、「Q1で商品に“満足している”と回答した人のうち、Q2の“機能” に満足が○%、“価格”に満足が○%」というように質問別のクロス集計があります。質問を掛け合わせることで、単純集計よりも詳細にデータを読み解くことができます。
分析では、調査結果を何に活用するのかを踏まえた上で最適な手法を使い分けることが、次のアクションにつなげやすくなるポイントです。以下に、分析手法の例を紹介するので参考にしてください。
分析手法 | 特徴 |
---|---|
クラスター分析 | 類似性がある集まり(クラスター)を分類する手法。商品・サービスのポジショニングを分析したい場合などに活用できる |
時系列分析 | 時間による変化を分析する手法。売上や販売数などの動向予測や季節要因の分析に活用できる |
主成分分析 | データを要約して特徴を整理する分析手法。ブランドイメージの分析などに活用できる |
決定木分析 | 結果に影響を与えている要因を樹形図にして分析する方法。課題の分析や競合比較などに活用できる |
テキストマイニング | 自由記述の回答を単語や文節に分けて解析する手法。ポジティブ・ネガティブの割合を出したり、重要キーワードを抽出したりできる |
ネットリサーチを実施するときの注意点
ネットリサーチを実施する際は、以下の点に注意する必要があります。
ネットを利用していない人の調査はできない
ネットリサーチはインターネットを利用している人に限定されるため、ネット利用比率が低い層の調査には不向きです。近年は高齢層にもインターネットが普及しつつありますが、ネットを利用していない層も対象とする場合は、紙との併用を検討するなどの対策をとる必要があります。
マルチデバイスに対応しているか
スマートフォンの普及にともない、ネットリサーチの回答においてもスマートフォンを利用する人が多くなっています。そのため、回答率を高めるには、パソコンだけでなくスマートフォンにも対応しているシステムを選択することが望ましいといえます。
また、スマートフォンは画面が小さくなるため、見やすさと誤操作に注意を払う必要があります。リサーチサービスを利用する際は、複数のデバイスで同じように利用できるマルチデバイスに対応しているかどうかも確認しておきたいポイントです。
海外のリサーチをしたい場合の注意
海外の情報を集めたい場合は、まず多言語対応のリサーチサービスかどうかを確認する必要があります。リサーチ会社によって対応している国が異なるので、事前にチェックしておきましょう。
また、海外リサーチを実施するときは、日本とは商習慣やカルチャーが異なることを視野に入れた調査設計が必要となります。自社にノウハウがない場合は、専門知識を有するリサーチャーに相談できるリサーチ会社を選ぶと安心です。
自社に合った方法でネットリサーチを成功させよう
ネットリサーチは、商品企画や販売戦略、プロモーション施策などを検討する際の助けとなるデータを迅速に集められる手法です。昨今は、セルフ型ネットリサーチのサービスも提供されるなど、自社に合った方法を選べるようになっています。基本の流れを押さえた上で、次のアクションにつながるネットリサーチを実現してください。
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